乱入バトル
乱入バトル(らんにゅう - 、英: SOS Battle)は、野生ポケモンが仲間を呼び出して2匹で一緒に戦ってくるバトル形式。第七世代で登場した。ぬしポケモンが仲間を呼ぶこと、または一般の野生ポケモンが助けを呼ぶことによって発生する。俗に、ぬしポケモン戦・一般の野生ポケモン戦の区別なく、仲間呼びとも呼ばれる。便宜上、本項もこの俗称を用いる。
概要
野生ポケモンとの対戦中に、手持ちポケモン1匹 VS 野生2匹でのバトルに変化する。イッシュ地方の色の濃い草むらでの対戦とは異なり、プレイヤー側が2匹目のポケモンを出して標準のダブルバトルにすることはできない。また群れバトルとも異なり、相手のレベルは単体の場合と同等である。したがって、単純に1対2の数的不利に立たされることになる。ただし、野生側が3匹以上になることはない。仲間呼びが行われるのはターンの終了時に限られるが、仲間を呼ぶにしてもそのターン内で攻撃も可能である。
アローラ地方では、しまめぐり第1の試練であるイリマの試練で、乱入バトルが初めて紹介される。試練達成後からは、一般の野生ポケモン戦でも乱入バトルが発生するようになる。
ゲーム内での呼称が「仲間を呼ぶ」と「助けを呼ぶ」に分かれているように、ぬしポケモン戦と一般の野生ポケモン戦とで、異なるシステムが採用されている。とくに一般の野生ポケモンによる仲間呼びには、ポケトレなどのような連鎖ボーナスが存在するので、厳選目的でも活用されている。
ぬしポケモン戦における乱入バトル
ぬしポケモンはそれぞれ固定の仲間をもち、固定の条件(ぬしポケモンの残りHPなど)にしたがって、ターン終了時に仲間を呼ぶ(ぬしポケモンの一覧と試練の各場所も参照)。とくに、1ターン目の終了時には必ず仲間を呼ぶ。2ターン目以降も、条件を満たすなら、さらに仲間を呼ぶ。
仲間の総数が∞でないなら、すべての仲間がひんしになった後は、以降の仲間呼びはなくなる。また、仲間呼びがターン終了時にしか発生しないことから、ぬしポケモンを1ターン目に一撃で倒せば、乱入バトルにならずに試練を終えられる。とはいえ、ぬしポケモンはもともと強力な上にステータス上昇やもちものの恩恵を得ているので、一撃で倒して乱入バトルを回避するのは難しい。
ぬしポケモンが仲間を呼んだときは、仲間は必ず現れる。言い換えれば、仲間呼びが不発に終わることはない。また、仲間呼びをスキップする条件も存在しない。
一般の野生ポケモン戦における乱入バトル
助けを呼ぶと仲間呼び率
すべてのポケモンは、その種類ごとに仲間呼び率(英: SOS call rate)をもつ。仲間呼び率は0,3,6,9,15の5段階からなり、強力なポケモンほど小さい。例えば、ピチューは15、ピカチュウは6、ライチュウは0である。仲間呼び率が0であるポケモンは、一切助けを呼ばない(#助けを呼ばないポケモン一覧も参照)。
仲間呼び率が0でないポケモンは、野生で出現したとき、各ターンの終わりに助けを呼ぶことがある。「助けを呼ぶ」という文字通り、ピンチの場面ほど助けを呼びやすい。ただし、ぬしポケモンの場合とは異なり、必ず助けを呼ぶとは限らず、仲間呼び判定がスキップされる条件も存在する。また、助けを呼んでも助けが現れず、仲間呼びが不発に終わることもある。仲間呼び率が大きいほど、助けを呼びやすく、その仲間呼びも成功しやすい。
ウルトラサン・ウルトラムーンでは、仲間呼びは1回成功するまでに限定されている。それ以降も引き続き仲間呼びをさせるには、ビビリだまを使用する必要がある。
助けを呼んだときの仲間の種類
一般の野生ポケモンは、野生エリアごとに、仲間を7枠もつ。ほとんどの場合、その7枠すべてが自身と同種のポケモンである。他方、自身とは異種のポケモンを仲間にもつものも存在する。その大半は同一進化ラインの種族を仲間とするもので、残りはまったく別系統の種族を仲間とするものである。ごく一部、7枠ある仲間の一部が天敵に侵食されているものも存在し、その場合には、過去の群れバトルのときのような野生ポケモン同士の攻撃が発生する(現時点では呼び出された側から呼んだ側への攻撃のみ)。現時点では、仲間の種類は、同種と異種をあわせて最大3種である。
また、特定のエリアで特定の天気であるとき、野生ポケモンがもつ仲間ではなく、天気に応じたポケモンが助けに現れることがある。このように、一部のエリアは天気乱入枠をもつ。天気乱入枠は、あめ・あられ・すなあらしごとに存在し、最大で2枠1~2種からなる。
以下に例を示す。
- ポニのけんろのミニリュウは、ミニリュウ・ハクリュー・カイリューの3種を仲間にもつ。それ以外の場所に生息するミニリュウは、ミニリュウ・ハクリューの2種を仲間にもつ。
- アローラ地方のサニーゴは、サニーゴを仲間にもつが、天敵のヒドイデを呼び出してしまうことがある。
- アローラ地方のピチューは、ピチュー・ピカチュウ・ピンプクを仲間にもつ。
- アローラ地方のマーイーカは、マーイーカのみを仲間にもつ。
アローラ地方では、上記の例におけるピンプクなどのように、野生での出現が異種乱入として呼び出された場合のみというポケモンも少なくない。このような異種乱入限定のポケモンのほとんどは、仲間呼び率0である。ウルトラサン・ウルトラムーンでは、異種乱入限定のポケモンに対して、ポケモン図鑑での生息地表示にビビリだまアイコンがつく。
助けを呼んだときの仲間の出現率
仲間の枠は、それぞれ確率の重みづけをもつ。
枠番 | 確率 |
---|---|
天気1 | 1% |
天気2 | 10% |
通常枠 | 89% |
枠番 | 確率 |
---|---|
1 | 1% |
2 | 1% |
3 | 1% |
4 | 10% |
5 | 10% |
6 | 10% |
7 | 67% |
例えば、アローラ地方のピチューの仲間は全エリア統一で1~4枠ピカチュウ、5枠ピンプク、6~7枠ピチューなので、仲間呼び成功時の出現率はそれぞれピカチュウ13%、ピンプク10%、ピチュー77%である。
助けを呼ぶの実行
助けを呼ぶ判定のスキップ
以下の場合、助けは呼ばれない。
助けを呼ぶ判定の処理
以下の手順に従う。
- 各ターンの終わりに、次の値Sを求める(最大100):S=残りHP補正×ビビリだま補正×仲間呼び率
- 0~99の乱数を発生させて、S未満のとき、野生ポケモンが助けを呼ぶ。S以上のとき、何も起こらずにターン終了。
- 助けが呼ばれたとき、次の値Tを求める(最大100):T=4×特性補正×連続補正×弱点補正×失敗補正×仲間呼び率
- 0~99の乱数を発生させて、T未満のとき、助けが現れる。T以上のとき、助けは現れず、現れなかったことを伝えるメッセージが出てターン終了。
- シンクロなど、これから呼び出されるポケモンを左右する効果の特性があるなら、ここで成否判定の処理を行う。
- 天気乱入枠が存在して条件を満たすなら、ここで天気乱入枠か通常枠かの判定を行う(上記#助けを呼んだときの仲間の出現率参照)。
- 通常枠から選ばれるなら、呼び出されるポケモンの決定処理に進む。
上記計算式中の補正倍率は次の通り。
助けを呼ぶ頻度の上昇
以下の場合、助けを呼ぶ頻度が上昇する。
- 残りHP補正
- 野生ポケモンの残りHPが少ないとき
- HPバーが黄色:×3
- HPバーが赤色:×5
- ビビリだま補正
- トレーナーがビビリだまを使用したとき:×2
助けを呼んだときの成功率の上昇
以下の場合、助けを呼んだとき実際に助けが来る確率 (成功率) が上昇する。
- 特性補正
- トレーナーのポケモンのとくせいがいかく・プレッシャー・きんちょうかんであるとき:×約1.2 (4915/4096=1.19995…)
- 連続補正
- 野生側が1つ前のターンでも助けを呼んでいたとき:×1.5
- 弱点補正
- 助けに呼び出されたポケモンを、来た直後のターンに効果抜群の攻撃技で倒したとき:×2
- 失敗補正
- 野生側が1つ前のターンで助けを呼びながらも助けが現れなかったとき:×3
助けを呼ぶの効果
連鎖ボーナス
野生側が仲間呼び率0でないポケモン1匹のみという状況であれば、助けを呼ぶ判定が毎ターン行われるので、1回のバトルで同じポケモンが何度も助けを呼んだり、呼び出された側が新たに助けを呼ぶ側になったりすることもありうる。このように1回のバトルで乱入が繰り返されると、高個体値のポケモン、かくれとくせいを持つポケモン、色違いのポケモンが助けに現れやすくなる。1匹呼び出されることを1連鎖とすると、連鎖数によって決まる効果は次の通り。
連鎖数 | 個体値最大確定箇所数 | かくれとくせい出現率 | 色違い出現率上昇値 |
---|---|---|---|
1-4 | 0 | 0% | + 0 |
5-9 | 1 | 0% | + 0 |
10 | 2 | 5% | + 0 |
11-19 | 2 | 5% | + 4/4096 |
20 | 3 | 10% | + 4/4096 |
21-29 | 3 | 10% | + 8/4096 |
30 | 4 | 15% | + 8/4096 |
31- | 4 | 15% | + 12/4096 |
とくに、色違い出現率の上昇は、ひかるおまもりの効果 (+2/4096) と重複する。以下に例を示す。
- 31連鎖以上したときに色違いのポケモンが出現する確率は、第七世代での出現率 (1/4096) に連鎖ボーナスを加えて (1+12)/4096=13/4096 (約1/315)。
- ひかるおまもりを持って31連鎖以上したときに色違いのポケモンが出現する確率は、 (1+2+12)/4096=15/4096 (約1/273)。
サン・ムーンでは、1回のバトルで256匹呼び出されると、オーバーフローで連鎖カウントが0に戻ってしまう。その場合、連鎖の効果も一旦元に戻ることになる。
ウルトラサン・ウルトラムーンでは、オーバーフローのバグは無くなった。
ブロックルーチンによって5V以上は出現しない。よって、個体値の最高は4V2U(Uは個体値30を意味する)までである。
努力値ボーナス
1度でも乱入が発生した場合、そのバトルでもらえる努力値はすべて2倍される。以下に例を示す。
- ズバット (素早さ+1) を4連鎖して、合計5匹倒すと、もらえる努力値は 1×2×5=10。
- ズバットを6連鎖して、パワーアンクル (素早さ+8) を持ちポケルス (努力値2倍) に感染したポケモンで合計7匹倒すと、もらえる努力値は (1+8)×2×2×7=252。
仲間一覧
同種のポケモンしか呼ばないものは省略する。太字は、乱入バトルでのみ出現するポケモンを表す。
天気次第
戦闘中に天気を変えるわざやとくせいを使用して能動的に天気を変えても出現する。ノーてんき・エアロックが効いている場合は出現しない。
ポケモン | 天気 | 場所 | ||
---|---|---|---|---|
あめ | あられ | すなあらし | ||
ニョロゾ | 10% | - | - | マリエていえん |
ニョロボン | 1%(昼) | - | - | |
ニョロトノ | 1%(夜) | - | - | |
ポワルン | - | 11% | 11% | マリエていえん |
1% | 11% | 11% | シェードジャングル | |
17ばんどうろ | ||||
ナッシー・アイランド | ||||
11% | 1% | 11% | ラナキラマウンテンSM | |
ラナキラマウンテン(麓)USUM | ||||
カプのむら | ||||
11% | - | 11% | ラナキラマウンテン(麓以外)USUM | |
11% | 11% | 1% | ハイナさばく | |
ガバイト | - | - | 10% | ハイナさばく |
バニプッチ | - | 10% | - | カプのむら |
バニリッチ | - | 10% | - | ラナキラマウンテン |
バイバニラ | - | 1% | - | ラナキラマウンテン(麓以外)USUM |
ヌメラ | 10% | - | - | シェードジャングル |
17ばんどうろ | ||||
ヌメイル | 10% | - | - | ナッシー・アイランド |
助けを呼ばないポケモン一覧
- しまスキャン、ウルトラスペースゼロで出現したポケモン
- 伝説のポケモン (カプ・ウルトラビーストを含む)
- その他、とくに仲間呼び率0であるポケモン (下表)
# | ポケモン |
---|---|
012 | バタフリー |
062 | ニョロボン |
094 | ゲンガー |
101 | マルマインUSUM |
103 | ナッシー (アローラのすがた) |
113 | ラッキーSM |
121 | スターミー |
122 | バリヤードUSUM |
124 | ルージュラUSUM |
143 | カビゴン |
149 | カイリュー |
169 | クロバット |
185 | ウソッキー |
186 | ニョロトノ |
196 | エーフィ |
197 | ブラッキー |
199 | ヤドキングUSUM |
224 | オクタンUSUM |
242 | ハピナスUSUM |
302 | ヤミラミ |
351 | ポワルン |
367 | ハンテールUSUM |
368 | サクラビスUSUM |
373 | ボーマンダ |
424 | エテボースUSUM |
440 | ピンプク |
444 | ガバイト |
448 | ルカリオ |
550 | バスラオ(あおすじ)UM |
582 | バニプッチ |
583 | バニリッチ |
584 | バイバニラUSUM |
624 | コマタナUSUM |
637 | ウルガモスUSUM |
670 | フラエッテ(オレンジのはな)USUM |
670 | フラエッテ(あおいはな)USUM |
670 | フラエッテ(しろいはな)USUM |
675 | ゴロンダ |
704 | ヌメラ |
705 | ヌメイル |
733 | ドデカバシUSUM |
738 | クワガノンUSUM |
747 | ヒドイデ |
767 | コソクムシ |
774 | メテノ |
775 | ネッコアラ |
784 | ジャラランガ |
アニメにおける乱入バトル
SM編第9話で初登場。ぬしポケモンのデカグースがサトシとのバトル中にヤングースを呼んだ。
SM編第25話では、ぬしポケモンのアローララッタがアクZを狙うスカル団・ロケット団と戦っていたところ、アローラコラッタ・アローララッタが助けに来た。
SM編第33話では、ぬしポケモンのヨワシがスイレンとのバトル中にママンボウを呼んだ。
SM編第35話では、ぬしポケモンのラランテスがサトシとのバトル中にポワルンを呼んだ。
各言語版での名称
言語 | 名前 |
---|---|
日本語 | 乱入バトル |
英語 | SOS Battle |
ドイツ語 | Quereinsteiger-Kampf |
フランス語 | Intrusion |
イタリア語 | Lotta con rinforzi |
スペイン語 | Llamada de auxilio |
韓国語 | 난입배틀 (Nanib Battle) |
中国語(台湾国語・普通話) | 闖入對戰/闯入对战 (Chuǎngrù Duìzhàn) |
中国語(広東語) | 闖入對戰 (Chóngyahp Deuijin) |
チェコ語 | SOS zápas |
ハンガリー語 | SOS Harc |
オランダ語 | SOS-gevechten |
ポーランド語 | Walka SOS |
ポルトガル語 | Batalha SOS |
ロシア語 | Сражение SOS (Srazheniye SOS) |
備考
- 乱入バトルではほえる、ふきとばし、ともえなげなどの強制交代ワザを使われても戦闘終了にならない。
- 乱入バトルでは敵も味方もテレポートでバトルから離脱できない。
- ぬしポケモンを、最初の1ターンで倒した場合は、そのままバトルが終わり、ほかのポケモンに乱入されることはない。