ひんし
ひんしとは、ポケモンの状態異常の一つ。ポケモンカードゲームでは「きぜつ」と表記される。
概要
HPが0になったポケモンはひんし状態となり、戦闘の場に出すことができなくなる。他のポケモンにひんし状態にされたポケモンは、そのターンの行動を完了していなくても場から退場させられる。
手持ちポケモンが全てひんし状態になったトレーナーはバトルに敗北する。通信対戦において反動や状態変化などで両者の手持ちが同時に全滅した場合、基本的にポケモンが先に倒れた側の敗北になる。
シナリオでは、相手のポケモンをひんし状態にすることで経験値を入手できるバトルが多い。経験値が入手できるバトルでは基本的に、プレイヤーの手持ちが全滅すると目の前がまっくらになる。経験値が入手できるバトルでは、両者のポケモンが同時に全滅したときでも倒れた順番に関係なくプレイヤーの負けと見なされることが多い。ボックスや育て屋などを利用する際、手持ちにひんし状態のポケモンだけが残るような処理は行えない。
ポケモンがひんしになったトレーナーの控えに場に出せるポケモンが残っている場合、次のポケモンを繰り出すことになる。これは通常の交代と区別して「死に出し」と呼ばれることがある。野生ポケモン戦ならそのままにげることもでき、ひんしになったポケモンのすばやさに従って成功率が求められる。
ひんし状態になったポケモンには名前の横に「ひんし」のマークが付き、交代や戦闘終了だけでは治らない。これが状態異常の特徴と共通するため、ひんしも状態異常の一種とされることがあるが、他の状態異常とは異なる仕様も多い。特に回復手段においては顕著であり、なんでもなおしやかいふくのくすりなどでは回復できない。道具で回復するにはげんきのかけらやげんきのかたまりなどが必要となる。キズぐすりなどのHP回復薬も効果が無くなる。その他、他の状態異常と異なる仕様として以下がある。
- すでに他の状態異常になっているときでも、ひんし状態は防げない。
- しんぴのまもり・ミストフィールド状態で防げない。
- 特性ぜったいねむり・フラワーベール・リーフガード・リミットシールド・きよめのしおで防げない。
- アロマセラピー・いやしのすずで治せない。
- ポケモンのHPバーの近くには手持ちの数と状態を示すモンスターボールのアイコンが表示されるが、ひんし状態を表すアイコンとその他の状態異常を表すアイコンは異なる。
ひんしの発生
相手に発生
自分に発生
- 残りHPによらずひんしになる
- 残りHPが最大HPの1/2以下のとき (小数点切り捨て)
- 残りHPが最大HPの1/2以下のとき (小数点切り上げ)
- 残りHPが最大HPの1/4以下のとき (小数点五捨五超入)
- 残りHPが最大HPの1/10以下のとき (小数点切り捨て)
- 道具いのちのたま
- 相手に与えたダメージに依存する
状態変化による発生
HP#最大HPに対する割合ダメージも参照。以下は残りHPによらずひんしになる。
ひんしの回復
わざ
どうぐ
その他
戦闘中
- マックスレイドバトルでひんしになった次のターンが終了する。
- テラレイドバトルで規定時間が経過する。
戦闘以外
- ポケモンセンターに預ける。
- ポケモン預かりシステムに預ける (第二世代〜第七世代まで)。
- 育て屋/預かり屋に預ける (第七世代まで)。
- しるやでミラクルソーダ・ワンダフルソーダを飲ませる。
- ポケモンキャンプでカレーライスを作る。
- ピクニックでサンドウィッチを作る。
ひんしの予防
以下の効果は攻撃技を受けたときか、こんらんで自傷したときのみ発動する。攻撃技・こんらん以外のダメージを受けても発動しない。
- ダメージを1減らすことでひんし状態を防ぐ。
- ダメージを0にすることでひんし状態を防ぐ。
詳細な仕様
- ひんし状態のポケモンは、相手ポケモンを倒したことによる経験値・努力値を入手できない。
- 野生ポケモンは弱らせた方が捕獲率が上がるが、ひんしにした野生ポケモンにはボールを投げることができない。
- ただし、マックスレイドバトル・テラレイドバトルでは相手のHPを0にすることで捕獲ができるようになる。
- 先頭のポケモンがひんし状態のときでも、フィールドで効果のある特性は発動する。
- ひんし状態のポケモンでも、戦闘以外ではフィールドわざを使うことができる。
- ひんしになったポケモンは、第七世代まではなつき度が、第八世代ではなかよし度が下がる。第三世代以降では相手のレベルが自分より30以上高いときにひんしになると減少値が大きくなる。
- ひんし状態のポケモンは、第七世代までは育て屋/預かり屋に預けることができるが、第八世代では預けることができない。
- どく状態のポケモンは第四世代まではフィールド上でもダメージを受け、第三世代まではひんしにもなる。これにより手持ちが全滅したときも目の前が真っ暗になる。第四世代ではHP1で耐えてひんしにならない。第五世代以降はフィールド上ではどくのダメージを受けない。
- ほとんどのソフトではひんし状態のポケモンはつれあるきでボールの外に出すことができない。
- バトルアリーナではHPが0にならなくても、判定によってひんし状態になることがある。
- マックスレイドバトルは味方側のポケモンが4回ひんしになると終了する。NPCのポケモンを含める。敵を倒したと同時に味方が4回目のひんしをした場合、巣の外に追い出されることが優先される。
- テラレイドバトルではプレイヤーのポケモンがひんしになると残り時間が減る。NPCのポケモンがひんしになったときは減らない。
- ひんし状態のポケモンは以下のサービスを受けることができない。
- ひんし状態でもすごいとっくんはできる。このときHPを鍛えても残りHPは増えず、ひんし状態は治らない。
バトルにおける効果
- ひんし状態のポケモンは技の対象にならない。技の対象に選択した相手が先にひんしになってその場に誰もいなくなった場合、自動的に別のポケモンが対象に切り替わる。対象に取れる相手が場にいない場合、技は失敗する。
- 味方を対象に技を選択したが、その味方が先にひんしになった場合、第四世代では敵側に対象が切り替わる。第五世代以降では敵側には切り替わらず、対象に取れる味方がいない場合は失敗する。
- 第五世代以降でのじばく・だいばくはつ・ミストバーストは対象がいないときでも発動し、使用者はひんしになる。みらいよち・はめつのねがいは対象がいない場所も「みらいにこうげき」状態にできる。
- トリプルバトルにおいて対象に取れる敵が2体以上いる場合、切り替え先はランダムに決まる。ただし、対象に選択したポケモンが味方だった場合、他の味方に対象が切り替わることはない。
- 相手の場が対象の技は、相手の場にポケモンがいないときでも成功する。
- ひんし状態になると、使用中の連続攻撃技・溜め技・数ターン行動する技も即座に中断する。
- ひんし状態のポケモンはふくろだたきに参加しない。
- ねこのてではひんし状態のポケモンの技も選ばれる対象になる。
- とどめばりで相手をひんし状態にすると攻撃ランクが上がる。
- その戦闘でひんしになった味方の数が効果に反映される技や特性がある。このカウントはひんし状態を治しても減少しない。自身がひんしになった回数もカウントする。マルチバトル・レイドバトルの味方はカウントしない。
- 相手を交代させる技やレッドカードの効果による交代先に、ひんし状態のポケモンは選ばれない。
- 特性イリュージョンのポケモンは手持ちの一番後ろのポケモンの姿になりきって登場するが、このとき第五世代のみひんし状態のポケモンを含める。第六世代以降ではひんし状態のポケモンは含めない。
- 特性アナライズの発動可否には、ひんしになったポケモンの行動順を考慮する。
- 特性きずなへんげ7・スワームチェンジや、メガシンカ・ゲンシカイキ・ウルトラバーストによりフォルムチェンジしているポケモンがひんし状態になると、本来の姿に戻る。
- ポケモンがひんしになることが発動条件の特性がいくつかある。
- ひんしになると効果が発動する状態変化がある。
- 「死に出し」のタイミングは世代やルールによって異なる。
- 第四世代以降で複数のポケモンが「死に出し」される場合、順番はその場にいたひんし状態のポケモンのすばやさによって決まる。ただし、場に出たとき発動する特性や持ち物の効果は、場にポケモンが出揃った後、出てきたポケモンのすばやさに従って発動する。
- 「死に出し」で場に出たポケモンが設置技の効果でひんしになった場合、第四世代以降でもターンが進むことなく次のポケモンを繰り出すことになる。
- ダブルバトル・トリプルバトルにおいて、味方の場に出せるスペースが余っている状態でひんし状態のポケモンを復活させた場合、以下のようになる。
- 第三世代では復活と同時に戦闘に加わる。ただし、場に出たとき発動する特性は発動しない。
- 第四世代ではポケモンの順番に関わらず即座に場に出すことはできず、そのターンが終了したときにポケモンを選んで繰り出すことになる。このとき場に出たとき発動する特性は発動する。
- 第五世代以降では、先頭の2体 (トリプルバトルでは3体) にいるポケモンを復活させた場合のみターンが開始したとき自動的に場に出される。それ以外のポケモンを復活させた場合は即座に場に出せず、そのターンが終了したときにポケモンを選んで繰り出すことになる。いずれにしても場に出たとき発動する特性は発動する (ローテーションバトルで外側に出したときを除く)。
- 第三世代以前のシングルバトルでは、先攻で動いたポケモンが自分の技の効果でひんしになった場合、後攻側のポケモンの行動順はスキップされる。第四世代以降ではこのようなときも後攻側は行動することになる。
(以下、第九世代で確認)
- ダブルバトルで2体同時に死に出しする場合は右と左のどちらに出すかを選べる
- 場が2体空いていて死に出しするポケモンが1体の場合は、左右を選べず左側から出る
ひんし状態に関するバグ
- 不具合や制作側が意図しない操作が原因で、ポケモンのHPが0になってもひんし状態にならない、HPが残っているのにひんしになる、ひんしになったのに手持ちに戻せない、HPが0のポケモンを場に出せる、などといった現象が起きることがある。ひんし状態に関するバグが起きたときは、さらに別のバグが続けて発生することも多い。
- 第一世代では、ボックスに健康なポケモンだけを預けて、手持ちをひんし状態のポケモンのみにすることができる。この状態で4歩移動すると目の前が真っ暗になる。[1]
- エメラルド・ダイヤモンド・パール・プラチナでは、ザロクのみでポケモンの最大HPが減ると残りHPも減少する。これにより残りHPがマイナスになると、アンダーフローを起こしてひんし状態にならない。
- 例えばエメラルドにおいて、残りHPが1のポケモンにザロクのみを使って最大HPが2下がった場合、残りHPは65,535と見なされる。このとき残りHPは"?35"と表示される。
- 日本語版のブラック・ホワイトでは、ちかすいみゃくのあなでチェレンと組んでプラズマ団と戦うタッグバトルにおいて、主人公のポケモンが全てひんしになった状態でチェレンが相手を倒した場合、他の多くのタッグバトルと異なり主人公のポケモンが回復されることがない。このとき手持ちが全滅したままゲームを続けることができるが、戦えるポケモンを手持ちに加えないまま野生ポケモンやトレーナーと戦闘になった場合、開始直後に目の前が真っ暗になる。[2]
- サン・ムーンのVer.1.1以前では、フリーフォールをニードルガードで防いだとき、フリーフォール使用者のHPが0になってもひんしにならず、場に残り続けるバグがあった。フリーフォール#ニードルガードバグも参照。
- 第六世代から第八世代で戦闘アニメが再生されるとき、またはスカーレット・バイオレットで特性きんちょうかんのポケモンが味方の攻撃でひんしになったことで相手のきのみが発動した際、HPの回復量が最大HPにより切り捨てられたとしても、それが表示される残りHPに反映されることがない。これにより表示上はHPが残ったまま倒れたポケモンはひんし状態にならない。このポケモンは場に出せるものの、ほぼひんしと同じものとして扱われてバトルを終わらせる手段が限られるようになる。詳細はきんちょうかん#バグを参照。
- スカーレット・バイオレット (Ver.1.2.0以前) の通信対戦では、コマンド選択の残り時間が「0」になる直前に「ポケモンをいれかえる」を選択したとき、手持ち画面が残ったままバトルが続行する不具合がある。このとき味方のポケモンがひんしになると、代わりのポケモンを出せないままバトルが進行し、自分からバトルを終わらせることができなくなる。Ver.1.3.0でこの不具合は解消された。
備考
- アニメでは、対戦で倒れたポケモンは「戦闘不能」と表現されており、ひんしという表現は用いられていない。また、この状態になったポケモンは、目を回した姿で描かれることが多い。
- ゲーム内においても、ポケモンタワーのライバルのセリフで「戦闘不能」という表現が使われている。
- ポケモンカードゲームでは「きぜつ」と呼ばれる。ゲーム内でもきあいのハチマキの説明などでは「きぜつ」とも呼ばれる例があるが、同じ用語でひるみを意味する場合もあるので注意を要する。
脚注
- ↑ Wooggle Smith -YouTube、2013/07/15
- ↑ ChickasaurusGL Evie - YouTube、2021/07/17
各言語版での名称
- ひんし
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- 戦闘不能 (アニメ)
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