連続攻撃技
連続攻撃技(れんぞくこうげきわざ)とは、1回の攻撃で2~5回程度に分けてダメージを連続して与える技の俗称。
概要
連続攻撃技はさらに5パターンに分かれる。
攻撃回数が2回固定であるものはダブルアタックやダブルチョップなどが該当する。
攻撃回数が3回固定であるものはサトシゲッコウガが使用するみずしゅりけんと、すいりゅうれんだが該当する。
攻撃回数が2回から5回までの間で決まるものはおうふくビンタやタネマシンガンなどが該当する。攻撃回数が確率によるため博打要素が強い。第四世代までは1発あたりの威力が大したことがなく、5回当たった場合の値と比べても他に威力の高い単発技があった。第五世代では1発あたりの威力が上方修正されたので、5回当たればかなりの威力を誇る技もある。
攻撃回数が最大3回であるものはトリプルキック・トリプルアクセルが該当する。命中するたびに威力が上がり、3発全て当たれば合計ダメージは1発目のダメージの約6倍となる。
状態異常やひんし状態でない味方の数だけ攻撃するものはふくろだたきのみ存在する。
特性がおやこあいのポケモンが使う攻撃技は2回固定の連続攻撃になる。ただし、2回目のわざの威力は、第六世代では1/2、第七世代では1/4になる。また、元々連続攻撃技である技はそのままで、回数が増えることはない。
命中・回数の決定と最大威力・期待値
最大3回攻撃技を除き、命中判定を行った後に攻撃の回数を決定する仕組みである。命中判定には通常の技と同様、技に設定された命中率が使われる。すなわち、攻撃のたびに命中判定をしてはいないので、途中の数回のみ外れる、ということは起こらない。当たる回数自体も確率で決まるが、2回固定または2~5回攻撃の技で「1回だけ当たる」ということは基本的に起こらない。ただし以下の状況では、当たった回数に関係なく連続攻撃技は強制的に中断される(技の使用者が特性スキルリンク・おやこあいを持つ場合も同様)。
- 防御側のHPが0になった場合。
- 防御側の特性さめはだや持ち物ゴツゴツメットのダメージなどにより、攻撃側のHPが0になった場合。
- 防御側の特性ほうしの効果により、攻撃側がねむり状態になった場合。ねむりをラムのみ/カゴのみで回復できる場合、即座に使用して攻撃を続行する。
- 2回攻撃固定技
回数は2回固定である。 したがって最大威力は、次のようになる。
- 威力×2
期待値は、各種補正がなければ次のようになる。
- 命中率×威力×2
ドラゴンアローは攻撃できる相手が1体だと2回の連続攻撃技だが、攻撃できる相手が2体いるとそれぞれに1回ずつ当たる特殊な仕様がある。相手の場に2体いるときでも片方に攻撃を無効化される場合は、攻撃が有効な方だけ2回攻撃する特徴もある。片方の命中判定で失敗した場合も攻撃を無効化されたときと同様に、成功したほうだけ2回攻撃することができる。よって、通常の連続攻撃技と同様に、1発当たったがもう1発は当たらなかったということは起こらない。
- 3回攻撃固定技
回数は3回固定である。サトシゲッコウガが使用したときのみずしゅりけんと、すいりゅうれんだが該当し、威力は次のようになる。いずれも基本命中率が100なので、各種補正がなければ期待値も同様。
- サトシゲッコウガのみずしゅりけん
- 20×3=60
通常時のみずしゅりけんの期待値は15×19/6=47.5であるため、きずなへんげにより威力の期待値は高くなる。
- すいりゅうれんだ
- 25×3=75
すいりゅうれんだは必ず急所に当たる攻撃技だが、急所による補正は威力ではなくダメージにかかるため、急所補正込みで威力を(25×1.5)×3=111相当と捉えるのは厳密には正しくない。
- 2~5回攻撃技
回数は次のような確率で決定される。
回数 | 第一~第四世代 | 第五世代以降 |
---|---|---|
2 | 3/8 (37.5%) | 1/3 (33.3%) |
3 | 3/8 (37.5%) | 1/3 (33.3%) |
4 | 1/8 (12.5%) | 1/6 (16.7%) |
5 | 1/8 (12.5%) | 1/6 (16.7%) |
最大威力は、次のようになる。
- 威力×5
期待値は、各種補正や急所を無視すれば次のようになる。
- 第一世代~第四世代:命中率×威力×((2+3)×3/8+(4+5)×1/8) = 命中率×威力×3
- 第五世代以降:命中率×威力×((2+3)×1/3+(4+5)×1/6) = 命中率×威力×19/6(≒3.167)
- 特性がスキルリンクの場合:命中率×威力×5
- 最大3回攻撃技
他と違い、技に設定された命中率を用いて、攻撃のたびに命中判定がなされ、外れたらそこで連続攻撃が終わる。 すなわち、命中90のトリプルキック・トリプルアクセルの攻撃回数は、命中率・回避率の補正がなければ、次のようになる。
- 第二世代:0回攻撃になる(外れる)確率は27/256、1回攻撃になる確率は229/256×27/256、2回攻撃になる確率は229/256×229/256×27/256、3回攻撃になる確率は229/256×229/256×229/256
- 第三世代以降:0回攻撃になる(外れる)確率は10%、1回攻撃になる確率は9%、2回攻撃になる確率は8.1%、3回攻撃になる確率は72.9%
トリプルキックの威力は1回目の攻撃で10、2回目で20、3回目で30となるので、最大威力は、次のようになる(トリプルアクセルの場合は2倍)。
- 10+20+30 = 60
期待値は、各種補正がなければ次のようになる。
- トリプルキック
- 第二世代:10×229/256×27/256+(10+20)×229/256×229/256×27/256+(10+20+30)×229/256×229/256×229/256 ≒ 46
- 第三世代以降:10×0.09+(10+20)×0.081+(10+20+30)×0.729 = 47.07
- トリプルアクセル:20×0.09+(20+40)×0.081+(20+40+60)×0.729 = 94.14
第五世代以降スキルリンクが有効になり、1回目の攻撃が当たると以降の攻撃も必ず当たる。
- 状態異常やひんし状態でない味方の数だけ攻撃
最大で6回連続攻撃できる。ふくろだたきのみしか存在せず、第四世代まではダメージ計算が、第五世代以降は威力計算が特殊であるため、当該項目を参照とする。
その他の仕様
全世代共通
- オボンのみなどのHPの割合によって発動するきのみは、連続攻撃の途中でもその割合になれば発動する。
- みがわりに対して攻撃をしてみがわりのHPを0にしたあと、攻撃回数がまだ残っていた場合、残りの攻撃は本体に向けて行う。
- 特性ばけのかわ・アイスフェイスが発動する場合、1発目のダメージのみ防ぎ、残りの攻撃は特性で防がれない。
- カウンターなどの反撃技は、最後の1回分のダメージだけを倍返しする。
- こらえるを使用しているポケモンに対して攻撃した場合、何回攻撃してもHP1以上でこらえられる。
- 特性テクニシャンは、1発あたりの威力が60以下であれば何回攻撃になっても効果の対象になる。
- 各種ジュエルは、1発ごとに全て補正がかかる。
- 1度だけのもの
- ヤチェのみなどのダメージを半減するきのみは、最初の1回分のみを半減する。特性マルチスケイル・ファントムガードも同様。
- 相性判定は最初の1回の影響が最後まで残る。
- ニードルガード・トーチカ・キングシールド・ブロッキングは、1度だけ防いだ効果が出て技が終わる。
- 攻撃側のもちものかいがらのすずによる回復は、全ての攻撃が終了した後に発動する。第二世代のみ最後のダメージだけから、第三世代以降は全ての攻撃のダメージの合計から回復量が算出される。
- 攻撃側のもちものいのちのたまによる反動ダメージは、何回攻撃になっても全ての攻撃が終了後に1回分だけ受ける。
- 防御側のもちものレッドカード・だっしゅつボタン・アッキのみ・タラプのみ、特性へんしょく・ぎゃくじょう・ききかいひ・にげごし・わるいてぐせは全ての攻撃が終了後に発動する。
- 攻撃のたびのもの
- 急所に当たるかどうか
- 相性判定以外のダメージ計算
- 追加効果が発生するかどうか
- 相手の特性さめはだ・てつのトゲやゴツゴツメット・ジャポのみ等の反撃ダメージ
- 攻撃側の特性どくしゅや防御側の特性ほうし・ほのおのからだなどの状態異常の効果が発生するかどうか
- 相手のいかり状態や特性くだけるよろい・ぬめぬめなどや、持ち物じゃくてんほけん・じゅうでんちなどのランク補正の効果が発生するかどうか
- 自分の特性あくしゅうやおうじゃのしるし・するどいキバのひるみ効果が発生するかどうか
- 相手の特性のろわれボディのかなしばり効果が発生するかどうか
- 攻撃側のポケモンがかなしばり状態になっても攻撃の中断はしない。
第四世代まで
- きあいのタスキは、最初の一撃を受ける時点でHPが満タンだったならば最終的に何回攻撃になっても発動し、全ての攻撃が終わった後でHPが1残る。
- きあいのハチマキは、1回の判定で全ての攻撃を耐えることができる。
第五世代以降
- きあいのタスキおよび特性がんじょうは、1発でHPが満タンから0になった場合のみ発動する。最初の1発でHPが0になるダメージをこらえても、HP1で二撃目を受けることになれば倒される。
- きあいのハチマキは1発ごとに発動判定がある。
利用法
威力や期待値が他の単発技に劣っていても、みがわりを破壊しながら本体にもダメージを与えたり、第五世代以降はきあいのタスキを貫通するというメリットから採用されることがある。急所判定も攻撃のたびなので、少なくとも1回は急所に当たる確率は通常のわざより高い。おうじゃのしるしを持って5回攻撃を当てた場合、相手は約41%の確率でひるむことになる。
特性テクニシャンかスキルリンクのポケモンなら威力不足を補うことができる。たとえばスイープビンタは命中率を考えないとしても本来の期待値は79だが、テクニシャンの補正を受けると1発あたりの威力が37になるため威力期待値は117になる。スキルリンクは1発あたりの威力は変わらないが、2~5回攻撃技や最大3回攻撃技を常に最大威力で使用できる。
直接攻撃の連続攻撃技は、相手のさめはだなどの特性やゴツゴツメットに注意したい。
1発につきダメージが1以上が保証されていることから、HPの実数値が11から16の範囲内であるレベル1限定戦ではダメージを出しやすい技になる。
該当する技
第三世代のタネマシンガン・つららばりおよび第七世代のみずしゅりけんを除き、すべての技が物理技である。非直接攻撃、特殊技について注記する。威力、命中、PPは最新世代のもの。
- 2回攻撃固定技
技 | タイプ | 威力 | 命中 | PP | 直接 | 効果 | 初出世代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ダブルニードル | むし | 25 | 100 | 20 | × | 追加どく20% | 1 |
にどげり | かくとう | 30 | 100 | 30 | ○ | 1 | |
ホネブーメラン | じめん | 50 | 90 | 10 | × | 1 | |
ダブルアタック | ノーマル | 35 | 90 | 10 | ○ | 4 | |
ギアソーサー | はがね | 50 | 85 | 15 | ○ | 5 | |
ダブルチョップ | ドラゴン | 40 | 90 | 15 | ○ | 5 | |
ダブルパンツァー | はがね | 60 | 100 | 5 | ○ | 追加ひるみ30% | 7 |
ドラゴンアロー | ドラゴン | 50 | 100 | 10 | × | 攻撃できる相手が1体のときのみ連続攻撃 | 8 |
ダブルウイング | ひこう | 40 | 90 | 10 | ○ | 8 |
- 3回攻撃固定技
技 | タイプ | 威力 | 命中 | PP | 直接 | 効果 | 初出世代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
みずしゅりけん | みず | 20 | 100 | 20 | × | 特殊攻撃 優先度+1 サトシゲッコウガ使用時のみ |
7 |
すいりゅうれんだ | みず | 25 | 100 | 5 | ○ | 必ず急所に当たる | 8 |
- 2~5回攻撃技
技 | タイプ | 威力 | 命中 | PP | 直接 | 効果 | 世代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
おうふくビンタ | ノーマル | 15 | 85 | 10 | ○ | 1 | |
たまなげ | ノーマル | 15 | 85 | 20 | × | 1 | |
とげキャノン | ノーマル | 20 | 100 | 15 | × | 1 | |
ミサイルばり | むし | 25 | 95 | 20 | × | 1 | |
みだれづき | ノーマル | 15 | 85 | 20 | ○ | 1 | |
みだれひっかき | ノーマル | 18 | 80 | 15 | ○ | 1 | |
れんぞくパンチ | ノーマル | 18 | 85 | 15 | ○ | 1 | |
ボーンラッシュ | じめん | 25 | 90 | 10 | × | 2 | |
タネマシンガン | くさ | 25 | 100 | 30 | × | 3 | |
つっぱり | かくとう | 15 | 100 | 20 | ○ | 3 | |
つららばり | こおり | 25 | 100 | 30 | × | 3 | |
ロックブラスト | いわ | 25 | 90 | 10 | × | 3 | |
スイープビンタ | ノーマル | 25 | 85 | 10 | ○ | 5 | |
みずしゅりけん | みず | 15 | 100 | 20 | × | 特殊攻撃 優先度+1 |
6 |
スケイルショット | ドラゴン | 25 | 90 | 20 | × | 攻撃後ぼうぎょ1段階低下・すばやさ1段階上昇 | 8 |
- 最大3回攻撃
技 | タイプ | 威力 | 命中 | PP | 直接 | 効果 | 世代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
トリプルキック | かくとう | 10 | 90 | 10 | ○ | 2 | |
トリプルアクセル | こおり | 20 | 90 | 10 | ○ | 8 |
技 | タイプ | 威力 | 命中 | PP | 直接 | 効果 | 世代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ふくろだたき | あく | (攻撃種族値/10)+5 | 100 | 10 | × | 2 |
備考
- 内部データ的に、連続攻撃は状態変化フラグによって管理されている(第一世代)。
関連項目
- おやこあい
- スキルリンク
- あばれる (状態変化)/さわぐ (状態変化)/ころがる/アイスボール - 1ターンに複数回ではなく複数ターンにわたり攻撃をするわざ(による状態変化)の仕様