劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕
劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕(げきじょうばんポケットモンスター まぼろしのポケモン ルギアばくたん、Pocket Monsters the Movie: Revelation - Lugia、英題: Pokémon the Movie 2000: The Power of One)は、1999年7月17日に日本で公開されたアニメ『ポケットモンスター』の劇場版アニメ映画作品第2作目。キャッチコピーは「命をかけて、かかってこい!!」。上映時間は81分。
注意:以降の記述には、作品の内容やあらすじ、登場人物などのネタバレが含まれます。ご理解の上ご利用ください。
概要
1999年7月17日に日本で公開された劇場版ポケットモンスター第2作目で、短編映画『ピカチュウたんけんたい』と同時上映された。日本国内の観客動員数は560万人[1]、興行収入は64億円 (興行通信社調べ)[2]、配給収入は約35億円を記録した[3]。1999年に公開された国内映画としては興行成績第1位を記録した。日本での公開後、全世界でも順次公開された。2000年7月21日には北米で公開され、興行収入約4376万ドルを記録した[4]。この記録は前作『ミュウツーの逆襲』における約8574万ドルの半分ほどの成績となったが、北米で公開された日本映画として当時2位の記録となっていた[注釈 1]。
本作の主要キャラクターとして登場するルギアは、映画制作時にはゲーム『ポケットモンスター』シリーズには未登場のポケモンであったが、本作の脚本を制作した首藤剛志が本作で題材のひとつとする深層海流を象徴する映画専用のポケモンを登場させたいと提案したことでデザインされた[5]。当初は名前やデザインが決まっていなかったことから、ルギアは「X」と呼称されており、この呼称はそのままプロモーションにも影響を及ぼした。コロコロコミックなどで発表された本作の事前情報では、題名を仮題『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン「X」爆誕』とし、ルギアもシルエットのみ公開され名前を直前まで「X」と伏せられていた。このときのキャッチコピーは「まだ、そのポケモンを見たものはいない。」であった。
ルギアは映画オリジナルのポケモンとして設計されたこともあり、本作より後の劇場版作品で多く行われたゲームに先行して新ポケモンが主要キャラクターとして登場する作品とは異なり、映画とゲームで連動する要素が存在しない。その後、ルギアがゲームやテレビアニメにも登場するようになったことについて、首藤は「驚いた」と述懐している。首藤は『金・銀』の開発が難航して度重なる発売延期を経ていたことを念頭に置いた上で、だからこそルギアをゲームに逆輸入できたと推測し、「アニメ制作側とゲーム制作側にいろいろなことがあったのだろう」としている[6][7]。
あらすじ
登場キャラクター
人物
ポケモン
- ピカチュウ (トレーナー: サトシ)
- ニャース (ロケット団)
- トゲピー (トレーナー: カスミ)
- フシギダネ (トレーナー: サトシ)
- リザードン (トレーナー: サトシ)
- ゼニガメ (トレーナー: サトシ)
- ラプラス (トレーナー: サトシ)
- カビゴン (トレーナー: サトシ)
- トサキント (トレーナー: カスミ)
- ヒトデマン (トレーナー: カスミ)
- コダック (トレーナー: カスミ)
- コンパン (トレーナー: ケンジ)
- マリル (トレーナー: ケンジ)
- ストライク (トレーナー: ケンジ)
- アーボック (トレーナー: ムサシ)
- マタドガス (トレーナー: コジロウ)
- バリヤード (バリちゃん)
- ルギア (映画)
- フリーザー (映画)
- サンダー (映画)
- ファイヤー (映画)
- ヤドキング (映画)
- ヤドン (複数)
- ヤドラン (複数)
- コイキング (複数)
- ポッポ
- ピジョン
- ピジョット
- ディグダ
- パラス
- パラセクト
- パウワウ (複数)
- ジュゴン (複数)
- カメール (複数)
- カメックス (複数)
- アーボ (複数)
- アーボック (複数)
- イーブイ
- シャワーズ
- ベロリンガ (複数)
- メノクラゲ (複数)
- ドククラゲ (複数)
- ゴルダック (複数)
- タッツー (複数)
- シードラ
- アズマオウ (複数)
- ギャラドス (複数)
- ヒトデマン
- スターミー (複数)
- モルフォン (複数)
- オニスズメ (複数)
- オニドリル (複数)
- バタフリー (複数)
- ズバット (複数)
- ゴルバット (複数)
- ライチュウ (複数)
- サイホーン
- サイドン
- イワーク (複数)
- カラカラ (複数)
- ナッシー (複数)
- ワンリキー
- ゴーリキー
- カイリキー
- サワムラー
- エビワラー
- オコリザル
- ケンタロス (複数)
- ビリリダマ
- イシツブテ
- ゴローニャ
- ニドラン♂
- ニドリーノ
- ニドキング
- ニドラン♀
- ニドリーナ
- ニドクイン
- ロコン
- キュウコン
- ギャロップ (複数)
- ドードー
- ドードリオ
- コイル (複数)
- レアコイル
- フシギソウ
- フシギバナ
- サンド
- サンドパン
- ガルーラ
- コラッタ (複数)
- ラッタ
- カイロス
- エレブー (複数)
- フーディン
- プクリン
- モンジャラ
- ナゾノクサ (複数)
- クサイハナ
- ラフレシア
- クラブ (複数)
- キングラー (複数)
- ピッピ (複数)
- スリープ
- スリーパー
- シェルダー (複数)
- パルシェン (複数)
- ニョロモ (複数)
- ニョロゾ (複数)
- ニョロボン (複数)
- スピアー
- ラッキー
- ガーディ (複数)
- マダツボミ
- ウツドン
- ウツボット (複数)
スタッフ
- 原案 - 田尻智
- スーパーバイザー - 石原恒和
- アニメーション監修 - 小田部羊一
- エグゼクティブプロデューサー - 久保雅一、川口孝司
- 監督 - 湯山邦彦
- プロデューサー - 吉川兆二、松迫由香子、盛武源
- 演出 - 日高政光、浅田裕二
- 脚本 - 首藤剛志
- アニメーションプロデューサー - 奥野敏聡、神田修吉
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 一石小百合
- 音響監督 - 三間雅文
- 音楽プロデューサー - 齋藤裕二、吉田隆
- 音楽 - 宮崎慎二、たなかひろかず
- 製作 - ピカチュウプロジェクト99(小学館・テレビ東京・メディアファクトリー・任天堂・トミー・クリーチャーズ・ゲームフリーク・OLM・ジェイアール東日本企画・小学館プロダクション)
主題歌
- エンディングテーマ「toi et moi」
- 作詞 - MARC&TK / 作曲 - 小室哲哉 / 歌 - 安室奈美恵(avex trax)
テレビ放送
- 2000年7月5日 - 初放送。
- 2001年3月30日
- 2004年8月17日
- 2007年7月24日
関連商品・グッズ
映像ソフト
- 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕 (VHS版、ZMVS-504) - 2000年2月2日発売、税抜3800円、発売元:小学館、販売元:メディアファクトリー
- 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕/ピカチュウたんけんたい (DVD版、ZMBP-551) - 2000年11月22日発売、税抜4300円、発売元:小学館、販売元:メディアファクトリー
- 幻のポケモン ルギア爆誕およびピカチュウたんけんたい本編、日本とアメリカで公開された予告編、短編「ヤドキングのいちにち」を収録。2011年8月24日に再販された。
- 劇場版ポケットモンスター ピカチュウ・ザ・ムービーBOX 1998-2002 (DVD、ZMSS-956) - 2007年9月21日発売、税抜12000円、発売元:小学館、販売元:メディアファクトリー
- 幻のポケモン ルギア爆誕を含む5作品が収録されている。
- PIKACHU THE MOVIE PREMIUM BOX 1998-2010 (Blu-ray版、ZMAS-6200) - 2012年11月28日発売、税抜36800円、発売元:小学館、販売元:メディアファクトリー
- 幻のポケモン ルギア爆誕を含む13作品および短編映画作品群のHDリマスターが収録されている。
書籍
- 『月刊コロコロコミック特別増刊 劇場版ポケットモンスター 超特集号 幻のポケモン ルギア爆誕』小学館、1999年8月10日発行、税抜410円。
- 『えいがポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』小学館〈小学館のテレビ絵本〉、1999年8月、税抜400円。ISBN 978-4091146731。
- 首藤剛志、園田英樹『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕・ピカチュウたんけんたい』小学館〈This is Animation〉、1999年9月、税抜934円。ISBN 978-4091015495。
- 『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕・ピカチュウたんけんたい ダブルゲットブック』小学館〈キッズ・ポケット・ブックス 40〉、1999年9月、税抜700円。ISBN 978-4092800403。
- 『愛蔵版 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕/ピカチュウたんけんたい 超全書』小学館〈てれびくんデラックス〉、1999年9月、税抜895円。ISBN 978-4091014696。
- 田尻智 原作、石原恒和 監修『幻のポケモン ルギア爆誕/ピカチュウたんけんたい』小学館〈ポケットモンスター えいが超ひゃっか 2〉、1999年10月、税抜800円。ISBN 978-4097506225。
- 田尻智 原作、石原恒和 監修、小学館プロダクション『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕/ピカチュウたんけんたい』小学館〈てんとう虫コミックス・アニメ版〉、1998年10月、税抜762円。ISBN 978-4091494221。
- 田尻智 原作、石原恒和 監修『劇場版ポケットモンスター 新装版 ミュウツーの逆襲/幻のポケモン ルギア爆誕』小学館〈てんとう虫コミックス・アニメ版〉、2006年6月28日、税抜619円。ISBN 978-4091402127。
その他
- ポケモンスタンプ ムービースペシャルシート00 (劇場前売券特典)
- 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕 劇場パンフレット
- おまけとして??? (プロモーションカード) が付属した。
備考
- キャッチコピーの「命をかけて、かかってこい!!」は予告編ではルギアが台詞として発しているが、実際の本編には含まれていない。
- 首藤剛志は予告編に本編にないシーンが含まれていると指摘を受けた際に、予告編を見ていないとした上で、脚本が完成する前にプロットを基に作られたPR用のものだろうとしている[8]。
- ゲーム『ポケモン不思議のダンジョン 青の救助隊・赤の救助隊』およびリメイク作品の『救助隊DX』では、ルギアとの戦闘前にルギアが「命をかけて……かかってこい!!」と発言する。
- 「爆誕」という単語は本作がきっかけとなり広まったとされる[9]。そのため、本作で作られた造語とされることがあり[9]、脚本を務めた首藤剛志は、自身のコラムで映画関係者[注釈 2]から最初のプロット会議で「爆誕」という単語を示されて「題名にこの言葉をつけてほしい」と言われたと述懐しており、その関係者による造語だと認識していた[10]。しかし、近年の調査で本作よりも先行する使用例が存在していたことが分かっており、1991年に刊行された柳瀬尚紀が翻訳したジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』や『コロコロコミック』1988年8月号のミニ四駆の特集記事に「爆誕」が使われていたことが確認されている[11][12]。
脚注
注釈
- ↑ この記録は2021年に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が更新しており、その後も『ゴジラ-1.0』と『君たちはどう生きるか』に更新されているため、2024年3月時点で5位となっている。
- ↑ 首藤はこの映画関係者を「御前様」と呼称しており実名は伏せているが、同人物をアニメポケットモンスターの仕掛け人となったプロデューサーで、ポケモン以前はミニ四駆とタイアップした作品があり、自著に『ポケモン・ストーリー』があると説明しているため、この映画関係者は久保雅一であると思われる。
出典
- ↑ テレビ東京広報局 (2013年8月8日). "“ピカチュウ・ザ・ムービー”シリーズ累計興収が700億円を“神速”で突破!! " (PDF). テレ東・BSテレ東 7ch(公式)。2024年3月15日閲覧。
- ↑ "歴代ランキング (2013年2月18日現在)". CINEMAランキング通信。2024年3月15日閲覧。
- ↑ "2000年(平成12年)興収10億円以上番組" (PDF). 一般社団法人日本映画製作者連盟。2024年3月15日閲覧。
- ↑ "Pokémon the Movie 2000". Box Office Mojo。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2009年5月27日). "第186回 映画2作目の「深層海流」". シナリオえーだば創作術。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2009年12月16日). "第206回 『ポケモン』をあと10年". シナリオえーだば創作術。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2010年2月3日). "第210回 幻の『ポケモン』映画3弾……消えた". シナリオえーだば創作術。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2009年8月5日). "第193回 『ルギア爆誕』への期待と僕の納得". シナリオえーだば創作術。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 9.0 9.1 numan編集部 (2023年1月7日). "爆誕(ばくたん) | numan". numan。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2009年6月3日). "第187回 ルギア黙示録". シナリオえーだば創作術。2024年3月15日閲覧。
- ↑ 飯間浩明 [@IIMA_Hiroaki] (2022年9月2日). "「爆誕」は1999年のポケモン映画「ルギア爆誕」から広まったと見るのが自然です。…たしかに柳瀬尚紀訳『フィネガンズ・ウェイク』にもある…" . X (Twitter)。2024年3月15日閲覧。
- ↑ コロコロチャンネル【公式】 (2023年1月14日). "「爆誕」が『爆誕』した日を探してみた". YouTube。2024年3月15日閲覧。