劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス
劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス(げきじょうばん - みずのみやこのまもりがみ - , THE GUARDIANS OF ALTOMARE)は、テレビアニメ「ポケットモンスター」の映画版第5作目である。日本公開は2002年7月13日。
概要
興行収入26.7億円、2002年邦画興行収入4位。同時上映作品は「ピカピカ星空キャンプ」。
アコーディオニストとして著名なcobaが音楽に参加していることもあり、今作では主題歌やBGMにアコーディオンが多く使われている。「水の都」というテーマとアコーディオンの組み合わせが今作を特徴付ける要素になっている。
サトシが謎の少女を追って街中を駆け回るシーンがあるが、このシーンではBGMが前面に押し出されて、セリフもほとんどなく、サトシとピカチュウがひたすら走っているだけという他の劇場版作品には見られない珍しい演出がなされている。迷宮のような街の裏路地でサトシが迷子になる描写にアコーディオンのBGMが相まって、より一層幻想的な描写に成功している。なおこのシーンは、湯山監督と脚本の園田氏がベネチアへ取材に行った際の実体験を元にしているとのことである。
注意:以降の記述には、作品の内容やあらすじ、登場人物などのネタバレが含まれます。ご理解の上ご利用ください。
あらすじ
ポケモン水上レースに出場するため、世界一美しいといわれる水の都「アルトマーレ」にやってきたサトシ・カスミ・タケシ。水上レースはカスミの優勝で幕を閉じ、記念に準優勝のロッシのゴンドラでアルトマーレの案内をしてもらうことに。ゴンドラ巡りを終え街を散策途中、ピカチュウが不思議な少女に出会う。その少女に忍び寄る怪しい二人組の影。コジロウいわく盗みの世界でナンバーワンと言われる怪盗姉妹・ザンナーとリオンだ。彼女達はアルトマーレのどこかにあるという「こころのしずく」を狙い、この街にやってきた。
実はピカチュウと出会った少女は人間ではなくポケモンであった。ラティアスが人間に変身した姿だったのだ。ザンナーとリオンはそれを見破り、こころのしずくと関係の深いラティアスを襲う。途中でサトシとピカチュウが助けに入り事なきを得るが、少女はいつの間にか消えてしまう。
その後カスミ・タケシと合流し街の名物である大聖堂へと向かったサトシ。大聖堂でガイドのボンゴレと出会い、街の言い伝えや大聖堂の由来などの話を聞く。ボンゴレの説明の途中サトシは先ほどの少女を見つけ、街に行ってしまった彼女をあわてて追う。縦横無尽に入り組んだ複雑な小路を探しまわるサトシとピカチュウ。途中で見失うが、今度は少女自らサトシの前に現れ、サトシを誘導するかのように走って逃げる。
追った先の幻想的な風景の一角に少女は立っていた。壁の中へ吸い込まれるように消える少女。驚き、ためらいつつも壁の中に入るサトシ。サトシとピカチュウがその先で見たものは、街中にあるとは思えない、神秘的で雄大な中庭であった。秘密の庭でサトシは少女の正体がラティアスであるということを知り、彼女の兄であるラティオス、庭の管理人でボンゴレの孫であるカノンという少女と出会う。カノンはラティアスの変身後の姿に瓜二つであり、ラティアスは彼女をイメージして人間に変身していたのであった。サトシはラティアスに気に入られてこの庭に入ることができたことから、ボンゴレとカノンもサトシとすぐに打ち解けた。彼らは秘密の庭にこころのしずくが安置されているということと、こころのしずくと街の関係を特別にサトシに教える。サトシ達はつかの間の楽しい時間を過ごすが、ザンナーとリオンの脅威はすぐそこまで迫っていた。
こころのしずくを守るラティアスとラティオス。奪おうとするザンナーとリオン。2人は庭に入り込み、ラティオスをとらえる。異変に気がついたポンゴレとカノンが来たときにはもう遅く、こころのしずくは奪われていた。リオンは大聖堂の古代マシーンを操り、街の至る所に封鎖の壁を作り、自分たちを守る。そして大聖堂にやってきたポンゴレとカノンもアリアドスのクモのすで拘束した。
ラティアスはサトシの元に現れ、このことをゆめうつしでサトシ達に伝える。ところが封鎖の壁が迫ってきており、サトシとピカチュウはポケモンセンターから出られたが、それ以外のモンスターボールをすべて置いていってしまう。カスミとタケシはポケモンセンターから一歩も出られない。そこで自分たちのポケモンでサトシの援護をすることに。
何とか大聖堂にたどり着いたサトシだが、こころのしずくが穢れてしまっていた。ポンゴレが言うには、悪しき者がこころのしずくを奪うと街は消滅してしまうらしい。ザンナーがポンゴレの忠告を聞かなかったばかりにこころのしずくに触れてしまい、姉妹は古代マシーンに閉じこめられ、マシーンが暴走する。そして、津波が迫っていた。ラティアスとラティオスは津波を止めようとするが…!
主な登場キャラクター
主題歌
オープニング
曲名:「めざせポケモンマスター2002」 歌 - coba&松本梨香、作詞 - 戸田昭吾、作曲 - たなかひろかず、編曲 - coba
- アニメポケットモンスターの最初のオープニングであるめざせポケモンマスターのリメイク版。編曲とアコーディオン演奏をcobaが担当している。
エンディング
曲名:「ひとりぼっちじゃない」 歌・作詞 - coba&宮沢和史、作曲・編曲 - coba
- この曲は映画のエンディングで使われたものとシングルCDとして発売されたものとで、歌詞の一部が異なっている。今作のサウンドトラックには「映画バージョン」として映画で使われた歌詞でこの曲が収録されている。
挿入歌
曲名:「SECRET GARDEN」 歌 - MADOKA 、作詞 - Natsumi Watanabe、作曲・編曲 - 宮崎慎二
- 全編が英語の歌詞である。
その他
- 都市「アルトマーレ」は、イタリアのベネチアをモデルにしてある。実在の都市をモデルにした舞台は今作が初めてである。
- 劇場版ポケットモンスターの作品で唯一挿入歌が使われている。
- 劇中では最終的にラティオスが死亡するが、劇場版でポケモンが死亡するのはこの作品が初めて。
- 前作でもセレビィが枯れて動かなくなるシーンがあるが、最終的には復活している(そもそも死亡したのかどうかは不明)。