久保雅一
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久保 雅一(くぼ まさかず、1959年7月25日 - )は、プロデューサー、編集者。小学館取締役、小学館集英社プロダクション常務取締役、小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント代表取締役社長。
人物
アニメ『ポケットモンスター』シリーズなどポケットモンスターのメディアミックス展開の仕掛け人として知られる[1]。
1995年11月、久保が『コロコロコミック』副編集長を務めていたときに、久保が手がけたミニ四駆がブームになっているのを見た任天堂から声をかけられ、任天堂東京支社へ出向くことになった[2]。そこで石原恒和と出会い、石原から『赤・緑』を見せられてこのゲームを『コロコロコミック』で漫画化できないかと相談された[2][3]。そのときは、当時読者の95%が男子であった『コロコロコミック』で扱うにはイラストが中性的で押しが弱いと感じた[3]ものの、小学生の7割がゲームボーイを持っていたことから読者のマーケットには合っているとも考えた[2]。また、誰もが好きになれるイメージを持ち、『コロコロコミック』で積極的に取り上げるようにした[3]。また、発売に合わせて『別冊コロコロコミック』にて、穴久保幸作の『ふしぎポケモン ピッピ』(のちに『ポケットモンスター』)の連載を開始させた[3][2]。
1996年2月に『赤・緑』が発売してから、石原から151種目のポケモンであるミュウの存在を教えられる[3]。小学館にも読者から雑誌に掲載されていないポケモンがいると問い合わせがたくさん来ていたことから、ミュウをプレゼントする企画を行い、2回行ったプレゼント企画にそれぞれ約8万件もの応募があった[3]。久保は当時のゲームの実売数が30、40万本であったことから、ゲームの購買層と『コロコロコミック』の読者層がほぼ一致していると考え、さらにポケモンと密に関係を築くことに決めた[3]。石原からは『青』を制作していることも伝えられ、『コロコロコミック』上で通販による限定販売を行うことにしたが、60万本の注文が入り、小学館の処理業務がパンクするレベルの反響を得た[2]。
同年夏頃からアニメ化を考えるようになり、数か月の間、京都の任天堂本社に何度も通ってアニメ化を提案して実現させた[3][4]。アニメ制作時にはスタッフにゲームを一度クリアするように厳命し、スタッフ全員にゲームの世界観を理解させてから制作させた[3]。アニメの視聴率も久保にとって満足のいく内容でその後も好調であったため、映画化を決めて制作を開始したが、その矢先にポケモンショックが発生する[3]。
ポケモンショック後にアニメが放送休止となった後は、テレビ東京が慎重姿勢を見せて放送開始が見通せない中で、アニメや映画の制作は止めない方針を採った[3][5]。アニメの放送再開後は、劇場版ポケットモンスターの第1作目『ミュウツーの逆襲』から第14作目『ビクティニと黒き英雄 ゼクロム』・『ビクティニと白き英雄 レシラム』、第19作目『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』ではエグゼクティブプロデューサーを務めた。
2008年、「劇場版ポケットモンスター」シリーズの製作について、第27回藤本賞を株式会社ポケモンの伊藤憲二郎とともに受賞した[1][6]。
著作
- 『ポケモン・ストーリー』日経BP、2000年12月8日。畠山けんじとの共著。ISBN 978-4822241995。
- 『ポケモン・ストーリー』上下巻、角川書店〈角川文庫〉、2002年4月1日。畠山けんじとの共著。ISBN 978-4043645015(上巻)、978-4043645022(下巻)。
スタッフ
アニメ
- ポケットモンスター - 企画
- 戦慄のミラージュポケモン (2006) - エグゼクティブプロデューサー
- ポケモン不思議のダンジョン 出動! ポケモン救助隊 ガンバルズ! (2007) - アソシエイトプロデューサー
- ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊 (2007) - アソシエイトプロデューサー
- ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊 〜時と闇をめぐる最後の冒険〜 (2009) - アソシエイトプロデューサー
- うたえメロエッタ リンカのみをさがせ (2012) - スーパーバイザー
劇場版
- 劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 (1998) - エグゼクティブプロデューサー
- ピカチュウのなつやすみ (1998) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕 (1999) - エグゼクティブプロデューサー
- ピカチュウたんけんたい (1999) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI (2000) - エグゼクティブプロデューサー
- ピチューとピカチュウ (2000) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター セレビィ 時を超えた遭遇 (2001) - エグゼクティブプロデューサー
- ピカチュウのドキドキかくれんぼ (2001) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス (2002) - エグゼクティブプロデューサー
- ピカピカ星空キャンプ (2002) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ (2003) - エグゼクティブプロデューサー
- おどるポケモンひみつ基地 (2003) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス (2004) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ (2005) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ (2006) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ (2007) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ (2008) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ (2009) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク (2010) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム (2011) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと白き英雄 レシラム (2011) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ (2012) - スーパーバイザー
- メロエッタのキラキラリサイタル (2012) - スーパーバイザー
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒 (2013) - スーパーバイザー
- ピカチュウとイーブイ☆フレンズ (2013) - スーパーバイザー
- ポケモン・ザ・ムービー XY 破壊の繭とディアンシー (2014) - スーパーバイザー
- ピカチュウ、これなんのカギ? (2014) - スーパーバイザー
- ポケモン・ザ・ムービー XY 光輪の超魔神 フーパ (2015) - スーパーバイザー、製作
- ピカチュウとポケモンおんがくたい (2015) - スーパーバイザー、製作
- ポケモン・ザ・ムービー XY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ (2016) - 製作
- 劇場版ポケットモンスター キミにきめた! (2017) - 製作
- 劇場版ポケットモンスター みんなの物語 (2018) - 製作
- ミュウツーの逆襲 EVOLUTION (2019) - エグゼクティブプロデューサー
- 劇場版ポケットモンスター ココ (2020) - 製作
ゲーム
- ポケモンチャンネル (2003) - エグゼクティブ・プロデューサー
備考
- 劇場版ポケットモンスター第2作目『幻のポケモン ルギア爆誕』の脚本を担当した首藤剛志は、タイトルの「爆誕」という単語は久保から最初のプロット会議で「爆誕」という単語を示されて「題名にこの言葉をつけてほしい」と言われたものだとしている[7]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 特集 編集とは何か。12 小学館 久保雅一さん". ほぼ日刊イトイ新聞。2024年3月16日閲覧。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 第4回 「ポケモン」との出会い。 | 特集 編集とは何か。12 小学館 久保雅一さん | 久保雅一 | ほぼ日刊イトイ新聞
- ↑ 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 ポケモンから広がる世界/「ポケモン大ヒットの秘密をさぐる」1、任天堂マガジン表紙・2000年6月号(No.22)、2022年10月26日時点のInternet Archive。
- ↑ 首藤剛志 (2008年11月12日). "第163回 『ポケモン』アニメ窮地の仕掛け人". シナリオえーだば創作術。2024年3月16日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2008年11月26日). "第165回 ポケモン事件でできたガイド・ライン". シナリオえーだば創作術。2024年3月16日閲覧。
- ↑ "藤本賞(2010年〜2000年 受賞者)". 一般社団法人 映画演劇文化協会。2024年3月16日閲覧。
- ↑ 首藤剛志 (2009年6月3日). "第187回 ルギア黙示録". シナリオえーだば創作術。2024年3月16日閲覧。
外部リンク
- 久保雅一 [@Mskz_Kubo] - X (Twitter)
- 特集 編集とは何か。12 小学館 久保雅一さん - ほぼ日刊イトイ新聞