ポケットモンスター 赤・緑
ポケットモンスター赤・緑 | |
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ジャンル | RPG |
プレイ可能人数 | 通常は1人、対戦時2人 |
発売元 | 任天堂 |
開発元 | ゲームフリーク |
発売日 | |
日本 | 1996年2月27日 2016年2月27日(VC) |
アメリカ | 1998年9月28日 2016年2月27日(VC) |
イギリス | 1999年8月8日 2016年2月27日(VC) |
ドイツ | 1999年8月8日 2016年2月27日(VC) |
オーストラリア | 1998年10月1日 2016年2月27日(VC) |
公式サイト | |
ポケットモンスター 赤・緑( - あか・みどり)とは、任天堂が発売したポケットモンスターシリーズ第一世代のゲームソフトのこと。また、同一世代のゲームソフトとして、ポケットモンスター 青とポケットモンスター ピカチュウがある。
目次
概要
最初に製作されたポケットモンスターである。英語版の名前は「Pokémon Red/Blue」[1]。RPGというジャンルに通信ケーブルを使った対戦及び交換という他者とのコミュニケーション要素を本格的に取り入れ[2]、当時既に発売から7年近くが経過して時代遅れになりつつあったゲームボーイ[3]を復活させた。当初ポケモンは150種類といわれていたが、実際にはゲーム中の通常プレイでは入手できずイベント配布によって手に入れられるミュウを含めて151種であった。バグが多いのも特徴で、それを利用した裏技も多数知られている。
パッケージには赤がリザードン、緑がフシギバナがそれぞれ描かれている。タイトル画面では主人公が指差ししており、その横で各ポケモンが次々に入れ替わっていく。最初に登場するポケモンは赤がヒトカゲ、緑がフシギダネである。スタートボタンを押した際に、登場していたポケモンが鳴き声を上げる。
『ファミ通』クロスレビューは40点満点中29点[4]と、発売当初の評価は特別高い訳ではなかった。
リメイクされたバージョンはファイアレッド・リーフグリーンである。リメイク版は以降の作品から加わった要素(ポケモンの持ち物やとくせいなど)や新マップ・ナナシマが追加されているほか、ポケモンの出現率等が変わっている。詳細は当該記事を参照。
ポケットモンスター X・Yの発売を記念してこの作品を元にしたアニメ『ポケットモンスター THE ORIGIN』が2013年10月2日の19時から放送された。現在はTSUTAYAでDVDのレンタルも始まっている。
2016年2月27日にはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールとして配信開始。価格は1,111円+税。マグネットやシールが付属した特別版ダウンロードカード、ニンテンドー2DS本体とセットになった限定版も発売。
ゲームシステム
本作は、ポケットモンスターシリーズの第一作である。ゲームシステムは本作品で大部分が完成しており、以後のほとんどの作品もこれに従っている。
- 最初にオーキド博士からフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ(いずれもレベル5)のいずれかを貰う。それぞれのタイプ1は、くさ、ほのお、みずとなっており、以後の作品もすべてこのスタイル(ピカチュウバージョンを除く)である。
- 主人公はカントー地方に点在する8つのポケモンジムをまわり、8人のジムリーダーと対決する。このジムリーダーは、他のRPG作品における中ボスに相当するポジションである。ジムリーダーを倒すと、ポケモンリーグ公認のジムバッジを手に入れることができる。8つのバッジを集めてポケモンリーグを目指す。ただし、ジムがある街についてすぐに挑戦できるとは限らず、その街もしくはそばにあるダンジョンを攻略しないと挑戦できないジムもいくつかある。また最初に訪れた際はジムを素通りし、ある程度ストーリーを進めてから挑戦するパターンも存在する[5]。
- オーキド博士の孫がライバルとして主人公の前に立ちはだかる。ストーリーの随所で突然登場し、勝負を仕掛けて来る。ライバルは他の一般トレーナーとは別格の扱いとなっており、こちらも他のRPG作品における中ボスに相当するポジションである。ライバルは自分の選んだ御三家が苦手とするタイプの御三家を最初に選択する。そのため、ライバルのパーティにはかならずそのポケモンまたは進化系が存在する。
- 後代の作品は、作品によってはもう1人、自分の選んだポケモンが得意とするタイプの御三家をもらうライバルがいたり、彼らとは別にストーリー上で何度か対戦を仕掛けてくる人物がいたりする。
- 道中、主人公は作品内の世界において悪事を働いている集団と対峙することになり、随所において主人公はその集団のメンバーから勝負を仕掛けられる。最終的に主人公は集団のボスと直接対決をしてその悪事を阻止していく。
- ポケモンリーグでは、四天王、および最終ボスであるチャンピオンの計5人と連続して対戦する。チャンピオンを倒すとそのときの手持ちのポケモンが殿堂入りとなり、エンディングを迎える。本作でのチャンピオンはライバルとなっている。
- ゲームの最終目標は、150種類のポケモンをすべて捕まえ(一度でも手に入れればよい)、ポケモンずかんを完成させることである。赤または緑単体のソフトだけでは出現しないポケモン、複数のうちいずれか1つしか選べないポケモン及びポケモンになる化石(かいのカセキ、こうらのカセキ)、また通信交換によって進化するポケモン(フーディン、カイリキー、ゴローニャ、ゲンガー)もいるため、どのバージョンでもずかんの完成には通信交換が必須である。
ハードなどのデータ
- 赤
- 型番:DMG-APAJ-JPN
- 発売日:1996年2月27日
- 対応機種:ゲームボーイおよび互換機
- 新品価格:3,900円+税(発売日当時税込4,017円)
- 売上:418万本
- ROM容量:4Mbit(512KB)海外版は8Mbit(1MB)であることが多い
- 緑
- 型番:DMG-APBJ-JPN
- 発売日:1996年2月27日
- 対応機種:ゲームボーイおよび互換機
- 新品価格:3,900円+税(発売日当時税込4,017円)
- 売上:404万本
- ROM容量:4Mbit(512KB)海外版は8Mbit(1MB)であることが多い
(赤はゲームボーイ史上売上第3位、緑は第4位)
ソフト単独では入手できないポケモン
赤
緑
通信が必要
スタッフ
- ディレクター
- たじり さとし(田尻智)
- プログラム
- キャラクターデザイン
- 音楽
- ますだ じゅんいち(増田順一)
- サウンドエフェクト
- ますだ じゅんいち(増田順一)
- ゲームデザイン
- たじり さとし(田尻智)
- モンスターデザイン
- すぎもり けん(杉森建)、にしだ あつこ(西田敦子)、ふじわら もとふみ(藤原基史)、もりもと しげき(森本茂樹)
- シナリオ
- パラメータ設定
- にしの こうじ(西野弘二)
- マップデザイン
- たじり さとし(田尻智)、にしの こうじ(西野弘二)、まつしま けんじ(松島賢二)、ののむら ふみひろ(野々村文宏)、たにぐち りょうすけ
- デバッグプレイ
- かけい あきよし、つちや かづき、なかむら たけお、ゆだ まさみつ
- スペシャル・サンクス
- ひしだ たつや(菱田達也)、さかい やすひろ(酒井康裕)、やまぐち わたる(山口亘)、やまもと かずゆき(山本和之)、とみさわ あきひと(とみさわ昭仁)、かわもと ひろし
- プロデューサー
- エグゼクティブプロデューサー
- やまうち ひろし(山内溥)
他の世代との違い
- 野生戦・トレーナー戦のどちらとも敵ポケモンが使うわざのPPの考慮がされておらず、あらゆる技を無限に繰り出してくる。
- 他の作品には移動したり向きを変えたりして勝負を仕掛けてくるトレーナーもいるが、第一世代では全員一方向を向いて待ち構えている。勝負後向きを変えるトレーナーはいる。
- バグが多く、それを利用して一気にポケモンのレベルを100にしたり、通常ショップでは購入できないふしぎなアメやマスターボールが購入できるようになるなどの裏技が多数存在する。[6]
- 裏技については、任天堂のサイトに注意書きがある[7]。
- どうぐをたいせつなものやわざマシンも含めて20個までしか持てない。
- 野生ポケモンを捕まえる際に現在のボックスが一杯だとボールを投げられず、捕まえられないので、手動でボックスを変更する必要がある。なお、本作ではボックスの状態を確認する手段が無いので、直接見るしか無い(ボックスを手動で変えなければならないのは第二世代も同様だが、マサキをポケギアの電話に登録しておけばボックスの状況を確認できる)。
- 再戦できるトレーナーが四天王とチャンピオンしかいない。
- 相性が第二世代以降と一部異なる。また相性の倍率計算した結果が等倍になるとき(例:くさ・どくタイプを持つポケモンがどくタイプのわざを受けたとき)でも「こうかはばつぐん」や「こうかはいまひとつ」とどちらか一方が表示される。
- 追加効果の発動率が第二世代以降とは異なっていることが多い。
- 育て屋にひでんわざを覚えたポケモンを預けられない。
- わざわすれオヤジが存在しないため、ひでんわざを忘れさせることができない。忘れさせるためには裏技を使うか第二世代のソフトに送る必要がある。
- ポケモンをボックスに預けても、HPやPP、状態異常が回復しない。
- 自転車に乗っている間はエリアを移動してもBGMが変わらない。他の世代とは異なりゲート内は室内扱いであり自転車に乗ることができない。
- ポケモンリーグ挑戦前のジムバッジの確認が個別で行われ、計8回確認される。
- リメイク作品であるファイアレッド・リーフグリーンでは統合されている。
- データ上のポケモンの並び順が図鑑番号と一致していない。
- 相手から同タイプのわざを受けても、追加効果で状態異常にならない(例:ノーマルタイプのポケモンがのしかかりの追加効果でまひしない)。ただし、例外もある(むしタイプのポケモンにむしタイプの技のダブルニードルでどく状態にできる等)。
- 一般トレーナーに名前が付いておらず、肩書きのみになっている。逆に、ライバルやジムリーダー、四天王などの特別なトレーナーの肩書きは表示されない。
- 捕捉率がポケモンの個体ごとに記録されている。[8]
- レベルが2以上上がる場合は第二世代以降の当該レベルまで1LVずつレベルが加算されていく方式ではなく、一段階で一気に(獲得経験値+保有経験値が示すレベルまで)レベルアップする。そのため、途中のレベルで覚えるレベルアップ技があった場合、その技は覚えない。[9]
- このゲームに使用されている乱数は2種類存在している。
- はかいこうせんを使っても反動を受けない。
- 戦闘中にこおり状態になった場合、その戦闘中はそのこおりが溶けることはない。
備考
- 当初ナムコで開発・販売する意向であったが、ナムコ側がこの作品に十分な収益性を感じなかったためこの案はお流れになった。
- ローカライズ担当のアメリカ人スタッフは、可愛いすぎてアメリカでは売れないと判断し、劇団四季の「キャッツ」のような造形にポケモンたちを変えようと提案するが、石原恒和は拒否した[10]。
- 今作は当時据え置き機に押されて売り上げが落ち込んでいたゲームボーイを復活させたといわれている。
- 通信対戦の機能に関しては、田尻智の鶴の一声によって納期2週間前に実装に向けての開発が行われたといい、開発の途中まで通信対戦の存在しないRPGとして製作されていた。森本茂樹は急な提案に仰天したが、任天堂やクリーチャーズの賛成意見に押し切られて突貫工事で実装し納期に間に合わせた。最初はオート対戦にする予定であったが、これではつまらないという任天堂のテストプレイヤーの感想を受けてマニュアル式の対戦形式に仕上げた[11]。
- きわめて多数のバグを持つことで知られるソフトである。多くのバグにSelectが絡んでいるため、Selectボタンはあまり利用しないほうがバグ対策としては好ましい。
- VC版では現世代との互換性を持たせているため通信を考えている場合などは特に注意してプレイすることが望ましい。
- バグの多さに関しては、急遽突貫で対戦機能を入れたことに原因があると、田尻、森本、増田が示唆している[12]。
- 赤・緑と青では、レポート消去の画面(タイトル画面でBボタン+十字キー上+セレクトボタンを同時押し)でBボタンを押すと、レポートが消えてしまう。ピカチュウバージョンでは改善され、この画面ではBボタンが反応しなくなっている。
- この画面では、通常と違って選択肢の「はい」と「いいえ」の位置が上下逆になっている(通常は「はい」が上で「いいえ」が下)。Bボタンを押すことで下の選択肢を選んでいる扱いになっているためと思われる。なお、金・銀・クリスタルも選択肢が反対なのは同じだが、Bボタンを押しても消えなくなっている。
脚注
- ↑ 出現するポケモンではRedが赤に、Blueが緑に対応するが、グラフィック面ではどちらも「青」に準拠したものである。
- ↑ ポケモン以前のゲームボーイのRPGでもキャラクターの交換や対戦を取り入れた例はあったが、本作品のように前面に押し出した要素ではなかった。
- ↑ 携帯型ゲーム機というジャンル自体とも言われている。
- ↑ ポケットモンスター 赤・緑 ファミ通.com (2020年6月24日閲覧)
- ↑ サン・ムーン・ウルトラサン・ウルトラムーンでは、ジムではなく試練に挑戦する。
- ↑ 裏技一覧 (第一世代)
- ↑ http://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/pm_list/onegai.html
- ↑ なお、第二世代から送付されてきたポケモンの道具情報は、捕捉率ステータスの値に保存される。
- ↑ 例:Lv4が1回の経験値加算でLv6になった場合、Lv5で覚えるはずの技を覚えない。
- ↑ http://www.nintendo.co.jp/nom/0007/taidan1/page03.html
- ↑ メディアファクトリー『ゲームフリーク 遊びの基準を塗り替えるクリエイティブ集団』(とみさわ昭仁、2000年) 128頁-131頁
- ↑ アスペクト『ポケットモンスター図鑑』(1996年) 「開発スタッフ・インタヴュー」 142頁