小田部羊一
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小田部 羊一 (こたべ よういち、Yoichi Kotabe、1936年9月15日[1] - )は、アニメーター、キャラクターデザイナー。元任天堂社員。
人物
1936年、台湾台北市に生まれる[2]。アニメーター、キャラクターデザイナーとして活動した後、1985年に開発アドバイザーとして任天堂に入社する[2]。『ポケモンスタジアム』と『ポケモンスナップ』が同時に開発を開始した際に、2Dのデータしかないポケモン151匹の3Dモデルを作成する必要があり、小田部が3Dモデルの監修を担当した[3]。小田部はモデラーが作成した3Dモデルを回転させたり動かしたりしながら改善点を指摘する形で監修し、岩田聡は小田部が指摘した箇所が修正されると「みるみる魅力的に」なるため「魔法を見るようでした」と評している[3]。小田部はポケモン151匹のモデルを監修した仕事を「彫刻家になったような気分」で「おもしろかった」と述懐している[3]。
オー・エル・エムからアニメ化の提案があった際には、任天堂でアニメーションを知っている人物として会議に出席することになり、その場で「強い意思があるならいいんじゃないですか」と話したことでアニメ化する運びになった[4]。そのため、小田部は『ポケットモンスター』(無印編)のアニメーション監修としてクレジットされた[4]。アニメ化企画が始動したときは「必ずゲームをやること」が条件とされていたが、小田部は「年の功」でゲームをプレイせずに企画に参加した[5]。小田部は、自身を「ゲームとアニメーションのつなぎ役」と位置づけ、関係者が「自由に話し合える場を作る」役割を担っていたとしている[4]。また、1998年公開の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』・『ピカチュウのなつやすみ』でもアニメーション監修を務めた。
2007年に任天堂を退社してフリーとして活動を続け[2]、アニメポケットモンスター・劇場版ポケットモンスター双方で無印編から「ポケットモンスター XY&Z」シリーズまで、1997年から2016年までの19年間、アニメーション監修を務めた。2015年には第19回文化庁メディア芸術祭功労賞を受賞し[6]、翌2016年に健康上の理由で引退した[7]。
クレジット
ゲーム
- ポケモンスタジアム (1998) - キャラクターかんしゅう
- ポケモンスナップ (1999) - キャラクターかんしゅう
- ポケモンスタジアム2 (1999) - キャラクタースーパーバイザー
- ポケモンスタジアム金銀 (2000) - キャラクタースーパーバイザー
- ポケモンチャンネル (2003) - アニメーションかんしゅう
アニメ
- ポケットモンスター (1997-2002) - アニメーション監修
- ポケットモンスター アドバンスジェネレーション (2002-2006) - アニメーション監修
- ポケモン不思議のダンジョン 出動! ポケモン救助隊 ガンバルズ! (2006) - スペシャルサンクス
- ポケットモンスター ダイヤモンド&パール (2006-2010) - アニメーション監修
- ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊・闇の探検隊 (2007) - アニメーション監修
- ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊 〜時と闇をめぐる最後の冒険〜 (2009) - スペシャルサンクス
- ポケットモンスター ベストウイッシュ (2010-2013) - アニメーション監修
- ポケットモンスター XY (2013-2016) - アニメーション監修
劇場版
- 劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 (1998) - アニメーション監修
- ピカチュウのなつやすみ (1998) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕 (1999) - アニメーション監修
- ピカチュウたんけんたい (1999) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI (2000) - アニメーション監修
- ピチューとピカチュウ (2000) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター セレビィ 時を超えた遭遇 (2001) - アニメーション監修
- ピカチュウのドキドキかくれんぼ (2001) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス (2002) - アニメーション監修
- ピカピカ星空キャンプ (2002) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ (2003) - アニメーション監修
- おどるポケモンひみつ基地 (2003) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス (2004) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者 ルカリオ (2005) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ (2006) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ (2007) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束 シェイミ (2008) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ (2009) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク (2010) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム (2011) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと白き英雄 レシラム (2011) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ (2012) - アニメーション監修
- メロエッタのキラキラリサイタル (2012) - アニメーション監修
- 劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒 (2013) - アニメーション監修
- ピカチュウとイーブイ☆フレンズ (2013) - アニメーション監修
- ポケモン・ザ・ムービー XY 破壊の繭とディアンシー (2014) - アニメーション監修
- ピカチュウ、これなんのカギ? (2014) - アニメーション監修
- ポケモン・ザ・ムービー XY 光輪の超魔神 フーパ (2015) - アニメーション監修
- ピカチュウとポケモンおんがくたい (2015) - アニメーション監修
- ポケモン・ザ・ムービー XY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナ (2016) - アニメーション監修
OVA
- ピカチュウのなつまつり (2004) - アニメーション監修
- ピカチュウのおばけカーニバル (2005) - アニメーション監修
- ピカチュウのわんぱくアイランド (2006) - アニメーション監修
- ピカチュウたんけんクラブ (2007) - アニメーション監修
- ピカチュウ 氷の大冒険 (2008) - アニメーション監修
- ピカチュウのキラキラだいそうさく! (2009) - アニメーション監修
- ピカチュウのふしぎなふしぎな大冒険 (2010) - アニメーション監修
- ピカチュウのサマー・ブリッジ・ストーリー (2011) - アニメーション監修
その他
備考
- アニメポケットモンスターのアニメーション監修としてクレジットされたことで、字面が似ていることから監修ではなく監督をしたと勘違いされることがあった[4]。また、1968年公開の映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』に登場する、小田部が描いたリスのキャラクター・チロとピカチュウが似ていると言われることも多かった[4]。『太陽の王子 ホルスの大冒険』に参画していた宮崎駿からも「タベさんが描いたに違いない!」と言われたことがあり、そのような指摘を逐一訂正していた[4]。
脚注
- ↑ 小田部羊一 « ANIDO official website
- ↑ 2.0 2.1 2.2 小田部羊一氏トークショー〜ハイジからチエ、そしてマリオへ〜 - 京都国際マンガミュージアム
- ↑ 3.0 3.1 3.2 社長が訊く『ニンテンドーDSi』
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 クッパのイメージはスッポン。任天堂のキャラクタービジュアルの礎を作った、小田部羊一氏がみずからの仕事をふり返る(2/3) - ファミ通.com
- ↑ 5.0 5.1 クッパのイメージはスッポン。任天堂のキャラクタービジュアルの礎を作った、小田部羊一氏がみずからの仕事をふり返る(3/3) - ファミ通.com
- ↑ 小田部 羊一 - 文化庁メディア芸術祭 - JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL
- ↑ 仏紙が「歴史に残るアニメーター」小田部羊一を特別取材 | クーリエ・ジャポン
関連文献
- 「小田部羊一さんに訊く任天堂アートワークの歴史とアニメーターの原点」『Nintendo DREAM』2019年1月号(2018年11月21日発売)所収、22頁-27頁。