きのみ問題
きのみ問題(きのみもんだい)とはルビー・サファイアで起こったバグ。多くのカートリッジで起こったので問題化した。
経緯
2003年11月22日ごろに「きのみが育たなくなった」「毎日もらえるアイテムがもらえなくなった」等の症状が各地で報告された。特定の行動が引き金になるわけではなく単にゲームをプレイしているだけで発生、なおかつオフラインゲームでありながらリアルタイムで複数のプレイデータに同時に発生するという、ゲームソフトとしては前代未聞のバグである。原因についての公式発表がないので真相は不明だが、起こったのが発売日(2002年11月21日)から366日経った2003年11月22日頃なので、「年」を含めた時間のカウントが正常に行われなかったからだと言われている。
発覚当初は「内蔵電池切れ」が疑われたが、電池は前作の金・銀・クリスタルと違ってバッテリーバックアップと共用していないことから通常4、5年程度は持つこと、自宅の時計が動いていることから無関係であることがわかる[1]。実際に、電池交換をしただけでは症状が改善することはない。画面上に表示されるプレイ時間とも無関係で、ゲームを最初からやり直した場合でも症状は変わらない。そのため、公式からもバグが発生したソフトのレポートを消さないようにするよう、注意書きがされていた。
当然、任天堂には問い合わせが相次いだが、公式なアナウンスは12月3日の時点まで待つ必要があった。
症状
基本的に、時間に関わるイベントが更新されなくなる。[2]
- きのみが全く成長しなくなる(「きのみ問題」の名前の由来)。
- 毎日きのみをくれる人がくれなくなる。
- ミナモデパートのくじをひけなくなる。
- ミナモデパート屋上の掘り出し物市が開催されなくなる(テレビで残り日数を放送している場合はその日数がおかしくなり、開催している時に発生した場合は、半永久的に開催している)。
- ひみつきちでのバトルができなくなる(レコードを混ぜて更新した場合は可能)。
- 週ごとにわざマシンをくれる人がくれなくなる、残り日数がおかしくなる。
- ロケットの発射回数がおかしくなる。
- マボロシじまの出現判定が変わらなくなる(出現しなくなる、または出現したままになる)。
- ポケルスが感染能力を失わなくなる。
- ダイヤモンド・パール・プラチナでパルパークが正常に使えなくなることがある。
- 大量発生が発生しなくなる(発生している時に止まった場合は発生時のポケモンで固定されたままとなる)。
アップデート方法
当初は任天堂サービスセンターへの郵送および持ち込みでの受付だったが、修理方法が増やされていった。
ポケモンセンターならびに各地のゲーム店にて月刊任天堂(ゲームキューブ試遊台)の2004年1月号〜3月号で修理が行えた[3]。試遊台である都合上、店員だけでなくユーザーの操作でアップデートを行うことも出来た。なお月刊任天堂でアップデートすると、チイラのみを持った色違いのジグザグマが貰えた[4]。これは、アップデートを促すためだと思われる。
「ポケモンスクープ2004.Winter」の付録である「きのみ問題修理プログラム」のカードe+を使うことでも修理できる。カードe+の利用にはカードeリーダー+と通信ケーブルが必要。本ポケモンスクープは2004年1月18日以降に開催された第19回次世代ワールドホビーフェア各会場や2004年1月23日以降のポケモンセンター各店舗、全国マクドナルド各店舗、イトーヨーカドー、トイザらス、ジャスコ、ダイエー、ハローマック各店 他で配布された。
2004年1月29日に発売されたファイアレッドリーフグリーン、エメラルドでも、通信ケーブルを使ってアップデートできる機能がついた。この機能を呼び出すには、タイトル画面でSELECTボタンとBボタンを同時押しする。現在は任天堂によるサポートは終了しているが、ソフトを使った修理は問題なく行える。
前述のようにゲーム史上稀に見る大規模なバグであったが、メーカー側の対応もソフトウェアのバグ対策としては異例の大規模なキャンペーンとして行われた。1年以上継続して遊んでいるユーザーが多数存在するポケモンシリーズならではの展開である。
なお、プログラムの修正ではなくセーブデータに手を加えて問題を抑制しているので、タイトル画面でデータの完全消去を実行した場合は修正データごと削除される。「さいしょからはじめる」場合は問題ない。